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日本企業がアメリカに進出する場合、法人を設立するか、非法人(支店や駐在員事務所)として進めるのかをまず決定しなければなりません。
法人は、出資した範囲内でビジネスから生じる責任を負う「有限責任制」です。
非法人は、訴訟などが生じた場合、法人のように有限責任ではなく、日本本社にまで責任が移るため、アメリカ内だけでは済まなくなります。
訴訟社会であるアメリカでは、巨額の損害賠償責任が本社にまで及ぶ場合もありますので非常にリスクがあると考えます。とはいえ、モノを売らない駐在員事務所であれば、訴訟が生じる可能性は低いということも考えられます。
アメリカで本格的に事業活動を開始する前に、設立準備や情報を収集したり、連絡窓口を開設したりする場合に、法人を設立せずに駐在員事務所を開設することがあります。
アメリカで駐在員事務所を設立する場合は、届出は特に必要ではありません。
しかし、営業を行うのであれば駐在員事務所というわけにはいきません。
もし営業を行い、かつ、法人を設立しないというのであれば、選択肢は支店設立ということになります。
アメリカで支店を設立する場合は、営業登録が必要になります。
支店は設立後すぐに営業を開始できる手軽さがメリットの一つですが、駐在員事務所と違って法人税を課税されるというデメリットもあります。
そのほか、駐在員事務所や支店もこれらの活動は日本本社の行為とみなされ、アメリカでの訴訟対応の負担や巨額賠償責任のリスクが親会社に及ぶ可能性があります。
アメリカの法人の形態には、大きく分けてCorporationとLLCの2種類があります。
それぞれのメリット・デメリットをしっかり認識した上で、最適な事業形態を選んでいただければと思います。
Corporationとは、日本の株式会社と同じようなものです。
通称LCCといい、日本の合同会社と同じようなものです。
▮ LCCの問題点
不特定多数の株主による出資の場合は、Corporationを選択するしかありません。
一方で100%子会社の場合は、CorporationとLLCのいずれも選択することができますが、LLCは若干問題点があります。
LLCは、日本の税法上の取扱いにおいて、損益通算ができない問題や、パススルーを選択した場合は日本本社に対してアメリカ税務当局の調査が及ぶことがあります。
とはいえLLCの優位性もあるため、アメリカにおける統括会社をCorporationで設立したあと、各州ごとにLLCを設立するという方法が選択されることもよくあります。
比較的需要が多いCorporationの設立の流れを以下にご案内します。
なお、アメリカで株式会社を設立する場合は、1人以上の発起人が必要です。
発起人は、会社設立の事務手続きを全て行うことになります。
居住の有無に関係なく、18歳以上であれば外国人でもなれます。
実務的には弁護士、会計士が発起人になることが多いといえます。
次に、発起人は基本定款の作成を進めます。
アメリカの定款内容は、日本の定款内容と然程変わりません。
会社名、事業目的、所在地、発行可能株式数、額面の有無などを記載します。
日本と少し違うのが送達代理人の登録です。
役員を送達代理人に指定することもできますが、訴状などの重要文書が届くため、代行会社を代理人とすることもあります。
基本定款を州務長官に提出した後、すぐに発起人が創立総会を開催します。
取締役を選任し、第1回取締役会を開催します。
取締役会では創立総会の決議事項を承認し、会計年度を設定や会社印や取引銀行を承認します。
アメリカで会社を設立したら、まず最初に内国歳入庁に連邦雇用主番号を申請します。
連邦雇用主番号は、Employer Identification Numberといい、EINと略されます。
このEINは、連邦課税当局の企業識別番号になるばかりでなく、銀行口座の開設やその他の手続きにおいて必要になりますので、重要な番号となります。
EIN番号が取得できれば、銀行口座を開設することができます。銀行には代表者が赴かなければなりません(原則)。
各州法に定める保険に加入することになります。
保険は各州それぞれで内容が異なりますが、労災保険、障害保険、失業保険、自動車保険などが強制されています。
展開するビジネスの内容によって、監督当局の許認可が必要になります。
ライセンスの内容によって、連邦政府、州、郡、市当局が担当部署になります。
たとえば、飲食店開業にあたっては、様々なライセンスを取得する必要があります。
店舗を新築または改装するときはもちろん、保健所の飲食店営業許可、酒類販売許可、下水道使用許可などを取得しなければなりません。
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